摂南大学(学長:久保康之)の国際学部国際学科3年、スポーツクライミング部の吉田智音(よしだ さとね)が、5月2日~4日にインドネシア・バリで開催された「IFSCクライミングワールドカップ2025」リード種目第2戦で初優勝を果たした。これは、彼にとっての大きな快挙となる。

■優勝の瞬間

リード種目は、高さ12メートルを超える壁を6分以内にどこまで登れるかを競う競技だ。4日に行われた男子決勝には、日本選手3人が進出。吉田はフランスやスペインの選手を上回り、最高到達点をマークした。彼の成績は、これまでの努力が実を結んだ瞬間を象徴している。

■ワールドカップ初優勝までの道のり

吉田は幼少期から高所に魅了され、6歳でクライミングジムに通い始め、スポーツクライミングの世界に入った。その才能は早くから開花し、2018年にはJOCオリンピックカップ(ユースB)で優勝を果たした。2021年には16歳でリードジャパンカップを初制覇し、翌年にはワールドカップ男子年間ランキングで7位入賞するなど、国際舞台でも力を発揮してきた。

2023年には摂南大学に進学し、フランス大会で3位に入賞。ワールドカップ初の表彰台を獲得し、今回の優勝は26回目のワールドカップ、11回目の決勝進出で達成されたものである。

■優勝コメント

吉田は「ついに、念願の初優勝を果たすことができました。長年の目標だった優勝を、26回目のワールドカップ・11回目の決勝で実現できたことに大きな達成感があります。また、今回の優勝によって後半戦の全てのワールドカップと世界選手権の出場も確定しました。」と喜びを語った。

さらに「これまでに何度も決勝に進出しながら、あと一歩届かず、漠然とした不安に悩まされてきた。決勝では途中でロープが引っ掛かるアクシデントもありましたが、多くの声援に背中を押され、気がつけば優勝の高度を越えていました。この優勝により、自分を取り囲んでいた殻を破れた気がします。とはいえ、今回はあくまで通過点です。次の目標に向け、またトレーニングを始めたいと思います。」と述べた。

■戦略の変更と体重管理

昨シーズンまでは経験を重視し、ボルダリングとリードの両種目に出場していた吉田だが、今シーズンからはリード種目に専念する戦略に転換した。体重管理を徹底し、最適なコンディションを模索。これまでの減量によりコンディションを崩した経験を生かし、管理栄養士と連携して調整を行ってきた。その結果、大会2週間前には「自己最高」の状態を見つけ出すことができた。

また、オーストリア・インスブルックでの単独練習も、技術とメンタルの両面で成長に繋がっている。

■摂南大学を選んだ理由

吉田が摂南大学を選んだ理由は、スポーツクライミング部が新設され、専用クライミングウォールの整備が進んでいたからだ。「大学4年間で結果を出してプロになる」という目標を胸に進学した。大学内に国際基準を満たすクライミングウォールが完成することで、練習環境がさらに充実することも大きなメリットだと語った。

■今後の目標と展望

今後の最大の目標は「世界選手権での優勝」と語る吉田。「年齢を重ねるごとにクライミングへの情熱は増していく。クライミングは年齢に関係なく努力次第で成長できる」と意気込みを語る。彼の強みは「一人で集中して練習できること」とし、今後の課題は「安定して結果を出すためのメンタル強化」と分析している。

「これまでにSNS等を通じて悔しさを発信してきた自分が優勝できたことで、”努力は報われる”という姿を見せられたと思います。また、世界基準でみると小柄な自分が世界でも戦えたことは、日本のクライマーにも希望を届けられたのでは」と周囲の支援への感謝を示し、さらなる飛躍を誓った。

<吉田の今後の大会スケジュール>
・6月25日~29日:W杯(B・L)オーストリア・インスブルック
・7月11日~13日:W杯(L・S)フランス・シャモニー
・7月18日~19日:W杯(L)スペイン・マドリード
・9月5日~6日:W杯(L)スロベニア・コペル
・9月21日~28日:世界選手権(B・L・S)韓国・ソウル

※B=ボルダー、L=リード、S=スピード
※日程は現地時間
※スケジュールや実施種目は変更される場合があります

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