◆同PoolのSIMONとALPHASが決勝で再戦

 日本バスケットボール協会(JBA)が主催する3×3の国内ツアー大会の最高峰「3×3 JAPAN TOUR 2024 EXTREME」のラウンド9が10月13日に開催。今大会は4月から始まった男子カテゴリーの10戦あるラウンドの9戦目。11月に開かれるFINALに向けて、ツアー大会も佳境を迎える中、「跡地を、みんなで遊べる聖地へ」をコンセプトにオープンしたlivedoor URBAN SPORTS PARKで初となる一戦を、ALPHASが制した。

 9チームが出場した今大会は、3チームずつに分かれてPoolと呼ばれる予選が行われ、各Poolの1位と、各Poolの2位チームの中から成績最上位チームの計4チームが決勝トーナメントに進出。準決勝、決勝を経て、ラウンドチャンピオンを決めた。

 まず予選を振り返ると、Pool Aはツアーランキング1位(ラウンド8終了時点。以下同じ)のSIMONと、同2位のALPHASが居合わせた激戦区だった。お互い初戦でSHIBUYA DIMEを破って対戦を迎えると、ALPHASが21−18でSIMONに競り勝ち、予選を1位で通過した。

 Pool Bでは、ASUKAYAMA C.Bが2連勝で予選を突破する。初戦で延長戦の末にHIRATSUKA CITYを22−20で下し、SHINAGAWACC WILDCATSも21−16で撃破。小口陸(#2)を中心に今ツアー初参戦ながら、インパクトを残した。

 Pool Cでは、HACHINOHE DIME.EXEが強さを発揮した。3人制グローバルプロリーグ「3×3.EXE PREMIER 2024」(主催:クロススポーツマーケティング)のプレーオフで4強にも進出したチームは、SAITAMA LIPLAを21−16で破り、BEEFMANにも21-11で快勝して準決勝へ。4強最後の1枠は、1勝1敗で各Poolの2位になったSIMON、SHINAGAWACC WILDCATS、SAITAMA LIPLAの中から、平均得点の最も高かったSIMONが確保した。

HACHINOHE DIME.EXEを準決勝で破り決勝に進出したSIMON [写真]=兼子愼一郎

 そして準決勝の第1試合でALPHASがASUKAYAMA C.Bを21−14で圧倒すると、第2試合ではSIMONがHACHINOHE DIME.EXEを21-15で下した。決勝はこの日2度目の顔合わせとなり、終盤までもつれたが、ALPHASの鈴木颯(#23)がファウルをもらいながら2ポイントシュートを射抜き、フリースローも沈める3点プレーを完成させて、勝負あり。20−17でSIMONを破って優勝を勝ち取った。

ALPHASは鈴木颯(右)の活躍もありSIMONを破って優勝 [写真]=兼子愼一郎

◆ALPHASの勝因は若い力の躍動

 ALPHASは予選1試合目で負傷したヤン・デムサー(#33)を欠きながらも、小澤崚(#13)、ゴラン・ビエリッチ(#8)の3人で戦い抜いた。とりわけ、活躍が光ったのが、新戦力の鈴木である。拓殖大学出身の25歳は、2022年にQ4湘南で3×3キャリアをスタートさせ、2023年よりTOKYO VERDYにも所属して3×3.EXE PREMIERなどに参戦していたが、今年9月末でTOKYO VERDYを退団してALPHAS入りしていた。

 183センチながら体の強さを活かしたディフェンスは力強く、オフェンスでも活躍していただけに、デムサー不在を感じさせないほど、チームを支えた。3×3日本代表を目指して強豪チームに入った鈴木は、デビュー戦について「チームメートに助けられながら、ゲームを楽しんで全力を出した結果、優勝ができたと思うのでとてもうれしいです」とコメント。初開催のlivedoor URBAN SPORTS PARKについても「きれいな会場で、これから盛り上がっていくんだろうと感じました。3×3やスケートボードなどいろんなスポーツと力を合わせてアーバンスポーツを盛り上げていくことができる素敵な場所」と話した。

 そんな彼の活躍は、同世代でチームを引っ張る小澤の奮起にもつながった。シュートが振るわず、本調子でなかったそうだが「新加入の颯があれだけオフェンスもディフェンスも頑張ってくれたら、僕もそれに応えるしかなかったです。まず全力でディフェンスして、走ることだけを考えてやっていました」と振り返る。

 また、ALPHASは小澤と鈴木が25歳、セルビア出身のビエリッチも22歳と若い力が結果を残した姿も印象的である。小澤はこの状況に「うれしい」と言いながらも「もっと僕が引っ張っていきたいので、彼らに負けないようにやらなきゃいけない」と言う。切磋琢磨できる環境が、3人でも優勝できる強さを生んでいるのだ。

ALPHASの小澤崚(中)は鈴木颯の活躍に刺激を受け奮闘 [写真]=兼子愼一郎

 加えて、今大会の会場になったlivedoor URBAN SPORTS PARKは、東京オリンピック2020開催時に、3×3の会場だった青海アーバンスポーツの近くにできた施設。小澤は当時、3×3 U23代表候補として同会場でのテストイベントに参加した過去があっただけに、ゆかりのあるエリアに戻ってきた感想を追うと「言われてみて気がつきました」と笑ったが、3×3日本代表になった今、将来に向けて改めて決意を誓った。

「逆に言えば(このエリアは)東京オリンピックに出られなかった悔しい場所でもあります。今日はJAPAN TOURのラウンド優勝という結果を残せたので、これから3×3を積み重ねて、最終的にオリンピックでメダルを獲るぐらいまで実力を伸ばしていきたいです」

 小澤をはじめ、鈴木、ビエリッチの3人は、翌14日に開催されたラウンド10も4試合を勝ち抜き、新会場で連日のチャンピオンになった。ALPHASは、今ツアーのラウンド優勝回数を参加チーム最多の4度に更新して、11月9日、10日に三井ショッピングパーク ららぽーと堺で開催される「3×3 JAPAN TOUR FINAL」へ挑む。若い力がさらに成長した先に、3×3.EXE PREMIER 2024のプレーオフ制覇に続く、主要タイトル獲得が見えてきそうだ。

文=大橋裕之
写真=兼子愼一郎

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