ULTREX by ライブドアニュース Others 「跡地を、みんなで遊べる聖地へ」…アーバンスポーツを文化に、「livedoor URBAN SPORTS PARK」を発信拠点に Others 2024.10.10 18:00 「跡地を、みんなで遊べる聖地へ」…アーバンスポーツを文化に、「livedoor URBAN SPORTS PARK」を発信拠点に 著者:ULTREX編集部 SHARE この記事の画像をもっと見る(全2枚) 2021年に行われた東京オリンピックでは、新種目となった中で、日本人3人が金メダルを獲得。銀メダルが1人、銅メダルが1人と男女分かれた4競技で5つのメダルが生まれた場所が「有明アーバンスポーツパーク」だ。 10代、20代の若い選手がメダリストになったこと、新種目で日本人が活躍したことで大きな話題を呼んだ中、2024年のパリ・オリンピックでも2つの金メダルと2つの銀メダルを獲得。その熱は、より一層高まりつつある。 10月12日(土)に全面開業する「livedoor URBAN SPORTS PARK(正式名称:有明アーバンスポーツパーク)」として、東京オリンピックで使用された跡地が新たに生まれ変わる。施設を運営するコンソーシアムの1つ、株式会社日テレ アックスオンの矢島鉄也さんに、施設活用の狙いと、「アーバンスポーツ」の未来について聞いた。 ー今回、コンソーシアムとして東京オリンピックでも使用され話題となった「livedoor URBAN SPORTS PARK(正式名称:有明アーバンスポーツパーク)」を活用していくという思いをお聞かせください 矢島鉄也さん(以下、敬称略) やはり、東京オリンピックの1つの象徴的な部分と言いますか、新競技が開催された場所というところ。有明という場所の特異性というか、 そういったところはあるなと思っています。東京オリンピックのレガシーを、どう次に繋げていくのかというところは、かなり重要な部分だと思っています。 私は今、所属が「株式会社日テレ アックスオン」というところで、ハードかソフトかで言うとソフト側の人間としても、 この文化というもの、この「アーバンスポーツ」の文化っていうものを、どう次世代により良い形で繋げていくのかというのは重要だなと思っています。この有明エリアで東京建物株式会社さん(コンソーシアムメンバー)のマンションブランド、「Brillia-ブリリア-」をはじめ、コンソーシアムのTSP 太陽株式会社さんは、まさにあの場所をオリンピックの時に設営、施工された方々であります。 重要なパートナー2社と共に、我々含めた3社でやっていくことが、東京五輪の象徴的な有明という場所を、一過性のものではなくて次世代に繋げていく、文化として根付かせて繋げていくことができるかなと思い 、このコンソーシアムに参画しました。 ー有明エリアには、有明テニスの森や有明アリーナ、有明コロシアムなどがあり、スポーツに馴染みがこれまでもありました。新たに「アーバンスポーツ」をメインにした施設を手がけることへの期待はいかがでしょうか 矢島:都内を見渡しても、なかなか体を動かせる場所が多くはないなと感じる中で、有明や、東京ベイエリアは、スポーツクラスターな場所でもあるなと思っています。スポーツウェルネスみたいな観点でも足を運ぶ。それをメインに街へ行く来街動機がない方としても、周辺に大規模集客施設がいっぱいありますし、コンソーシアムの中では「ついで需要も重要だよね」と話もしているんですが、ついでに「ライブドアアーバンスポーツパーク」に足を運んでもらうという、キッカケが作れたらと思っています。 ー「ついで需要」というと、ほど近いところに豊洲市場があり、海外からの旅行客も多く訪れています。アーバンスポーツは、より海外では人気もあり、インバウンドへの期待もありますでしょうか? 矢島:まさに「ついで需要」というところでいくと、大規模集客施設の1つ大事なパーツとして「千客万来」は我々もすごく重要なポイントと思っています。「千客万来」からこの「ライブドアアーバンスポーツパーク」というのは、橋1つ渡れば来れるというところです。思ってる以上に近いっていうところはあるので、その辺りもしっかり発信をしていきたいと思っていますし、我々のようなソフト側の人間としては、何か仕掛けみたいなものをぜひ作っていきたいなと思っています。 ー競技人口も東京オリンピック以降増えている「アーバンスポーツ」の魅力はどこに感じられていますか? 矢島:コンソーシアムとして東京都さんの公募に手を挙げた際の提案書の中にも一部記載をしましたが、 我々のパートナーとして、名誉村長という肩書きで陸上の為末大さんに入っていただいています。為末さんの言葉として「スポーツは遊びだよね。遊びから全てが始まるよね」という言葉があり、まさにそうだなと。どんな人でも、最初は低いところからチャレンジしていきなりトップランカーに行ける人はいないと思いますし、動機は全て楽しそうだなとか、ワクワクするなというところから入ると思います。 そう考えると、昨今の都市部の施設の環境を踏まえても、「アーバンスポーツ」というのはすごく接しやすい、入り込みやすい競技なのかなと思っています。実際、私も未就学児の5歳になる娘がいるんですが、 まさに娘も今絶賛アーバンスポーツの一種でもあるローラーフリースタイルにドハマリ中です。たまたま街中で体験会があったところ、すごく興味があるというのでやらせたら、本人が楽しそうにやっているので、本当に色々なキッカケがあるなと思います。 もちろんオリンピックで使われた施設でもありますし、いわゆるトップランカー、プロフェッショナルなプレイヤーももちろん使われると思いますが、まだ初級レベルの方々もいる。全ての方々が楽しく施設を使えるような、そういう環境作りが大事なんだろうなと。私の実体験と同じように、有明エリアには1万世帯ぐらいいらっしゃいますので、アプローチをし、そうした機会を作れるというのは、まさに重要だろうなと思います。 ー競技への入りやすさがある一方で、実際にプレーする場所の少なさなど課題も抱えています。全国でも増えていっている中で、今回その一歩を踏み出す上で感じていることはありますか? 矢島:まだまだ場所は限られてしまうところはあると思います。ここ数年、全国の自治体が特にスケートボードを中心としながら施設整備を始めていますので、今後は連携があってもいいんじゃないかなと思っています。各施設の運営だけではなく、ネットワークを全国で繋げていくことができればと思います。 東京オリンピックも、パリ・オリンピックもそうでしたけど、「アーバンスポーツ」というものが、日本の次なるお家芸のような層の厚さがあるので、その辺りを全国でしっかり層を上げていくんだという姿勢っていうのは必要なんじゃないかなと。より選手レベルを高めつつ、全国どこでもちゃんと施設があるような。受け入れる体制も含めて考えていく必要性はあるんじゃないかなと感じています。 ー「アーバンスポーツ」の発信拠点として、そして有明の地域を巻き込んだ街づくりをしていく上で、現在の構想をお聞かせください 矢島:1番は有明という場所を、「アーバンスポーツ」だけではなく、広くスポーツに関するこの発信拠点、東京のスポーツに関する発信拠点みたいな立ち位置になっていくのが良いかなと思っています。第一歩として、皆様に分かりやすいのが東京オリンピックのレガシーとしての場所の意味なのかなと思っています。 今回のキャッチコピーである「跡地を、みんなで遊べる聖地へ」というのは、そういった意味も込めていて、 まずはキッカケ、入口として、オリンピックの跡地、レガシーの場所を、ただの聖地ではなくて、みんなで遊べる聖地とするのが重要だなと思っています。 世の中には色々な聖地があると思いますが、 ここで10年、20年前にオリンピックがあったんだという、見るだけのものは多々あると思います。一方で、今回の「ライブドアアーバンスポーツパーク」の違いは、その施設で自分が「滑れる」、「登れる」、「バスケができる」みたいな、その価値は重要だなと思っています。地域住民の方々も含めて浸透して、ごく自然な形になっていくと、「みんなで遊べる聖地」になっていくのかなと。そうなれば、スポーツをやる方々とか体を動かす方々が増え、スポーツビジネスみたいなところが充実していくんじゃないかなと思います。 ー10年間の施設運営となると、ロサンゼルス、ブリスベンと2度オリンピックが開催されます。今の子どもたち、小学生、未就学児でも十分メダリストになる可能性もありますが、この場所から生まれるという期待感はありますか? 矢島:今回の開業の3日間のオープニングのイベント(10月12〜14日)でも色々な種目で大会がありますが、スケートボードは2つ大会があり年齢層が違います。今滑ってる子どもたちは、4年後にロス五輪で候補になって、世の中的に名前が売れていく、みんな知るような存在になるのかなとか、 一方でこっちの大会はまだもう少し低い年齢なので、8年後のオーストラリアのブリスベン五輪の頃に名前が知られるのかなとか。そういう視点で大会も観れるでしょうし、小学校低学年ぐらいでも本当にプロ顔負けぐらいの滑っている様子も見られます。まさに親心みたいな形で、こう見守っていくことができる。そういう面白さはあるかなと思います。 ー「アーバンスポーツ」の特性としては、観客が全員の選手を応援するという特徴もあります。街を巻き込んでやっていくところで、競技を取り巻く特性とのマッチングはどうお考えですか? 矢島:アスリートという話だと、セカンドキャリアもかなり重要なポイントだと思います。その中で、「アーバンスポーツ」は他の競技と比べると、少し競技寿命とか選手人生が短いのかなと。まさにセカンドキャリアみたいなところを、どう描いていくのか。考え方とかプロジェクトなのか、何か発信する事も含めてやっていくべきなんだろうなと思います。 「アーバンスポーツ」に関する施設を運営する側としては、単純に大会やってます、スクールをやってますだけだと少し足りないなという感覚はあるので、関わる人、やる人だけでなく、アスリート視点というとこで見ても、シンポジウム的な発信事もあって良いでしょうし、 各競技団体さんやプロチームなどと連携する形で、他の企業さんとのマッチングやコラボレーションするようなイベントごともあって良いと思います。何かしらの施策というものも、今後やるべきもの1つかなとは感じています。 ー「共創」というコンセプトの下では、周りと連携していくことも重要だと思います。様々な未来図が描ける中で、最も期待される部分というのはどこになるでしょうか 矢島:やはり、どこまで行ってもターゲットというのは次世代だと思うので、お子さんたちが「登り詰めていく」、「極める」というだけではなくて、 より多くのお子さんたちがワクワクしながら体を動かす環境を作れることが1番なんじゃないかなと思っています。その中の一部が、日本を代表する選手になっていけば良いかなと個人的には思ってるので、下支えするような施設が作れれば良いかなと思います。 施設としては10年間ですけれども、この10年間で全てが終わるのではなく、この10年間で有明という場所に「アーバンスポーツ」を起点とした何らかの文化を作って、11年目以降は施設はないけれども、その後文化として根付いていくという姿を皆さんと一緒に作っていく。そういう10年なんじゃないかなとは思っています。 ー未来を考えれば、日本中で「アーバンスポーツ」が文化的に広がるという大きな目標もあるかと思います。 矢島:「アーバンスポーツ」の面白さは、ミックスカルチャーのところかなと思っています。 アートやライブ、エンターテインメントやカルチャーみたいなものとの掛け算が面白さだと思うので、新しいコンテンツを生むという文化作りもという側面もあるんだろうなと思いますし、そういうチャレンジは今後やっていくべきだと思っています。 ー現時点で、そうした他のカルチャーとの融合など、思い描いているものはありますでしょうか? 矢島:アートとか音楽というものとどう融合していくのかっていうのは、考えるべきポイントかなと思います。腰を据えて見るサッカーとか野球みたいなものと音楽とかアートみたいなかけ算の仕方はあると思いますが、 よりコンテンツに昇華できそうなイメージは、「アーバンスポーツ」の方がより強く作れる感じがします。表現手法も含めて、どういうものがより合うのか。単純にライブペインティングみたいなものであるとか、 もしくはデジタルアートみたいなものであれば、スケートボードのどんなもの、どんなパフォーマンスと掛け算できるのか。そういったことを考えていく過程も面白いと思います。何かを花開かせるためのキッカケ作りみたいなところも含めて、チャレンジしていくべきだと思います。 ーアーティスト側を見ても、これから羽ばたく方が多くいて、「アーバンスポーツ」も若い選手が力強い状況です。期待が大きく広がる部分もありそうですね。 矢島:まさに、アートはまだまだ発展できるジャンルなんじゃないかなと個人的に思っています。国内では「〇〇展」というものが多く開催されていますが、動員数というのは世界トップクラスぐらいを誇っています。ただ、アートを買う、美術作品を買うとなると、市場が一気にシュリンクする事実があるらしく、アートに関する市場にまだ伸びしろがあると考えると、1つの解決策として「アーバンスポーツ」と掛け算したら、 今の世の中にいる若手の現代アーティストたちが世界に羽ばたける瞬間がもしかしたらできるかもしれない。そういう面白さがここにはあるなと個人的に思っています。